川柳・俳句4月号 「ひょうたんなまず」 選者・東嶋一刀齋
今月のお題 「趣味」「テーマ自由」
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【 天 】 青空や 春の気配は 柔らかし (札幌市) 今泉 公成
- 日本列島は弓のように南北に伸びているので、季節ごとの花の開花もタイムラグがあり、それもまた楽しみとなっている。空はその季節の地図でもある
【 地 】 釣り船や 左右にゆれて 海青し (八戸市) 樺山 悟志
- 釣り竿に大物の当たりが来ているのか、釣り船が左右にゆれている。本人は気がもめるが、見ている方も手に汗を握るのだ
【 人 】 フィギュアの 目線鋭し 春の風 (横浜市) 佐藤 惣十郎
- 趣味のフィギュアをいつくしんでいるのだろう。オタクという文化も、今や世界的になって、サブカルチャーの域を超えてしまった
【 佳 作 】 無趣味の 父の忌をむかへ やや寒し (長野市) 東方 浩司
- 思い出話もすぐに尽きて……
梅の花 散らばる如く 丘にあり (水戸市) 秋山 太一
- それもまた良きかな
水郷の 光の束や はるかなり (東京都)能島 秋海
- 実景ではなく記憶の中の風景か
タンポポや 畠の隅に 土匂ふ (茅ヶ崎市) 大山 康人
- 今は無きのどかな景色である
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【 天 】 あんた誰 母の介護は 名前から (東京都) 老々介護
- 実際、年を取ると、記憶力が衰え、認識力も低下する。認知症になった母に名前を名乗る息子も悲しい
【 地 】 孫が来た 今度は何を 壊すやら (奈良市) 孫はゴジラだった
- 孫がかわいいのは、時々来てくれるから。毎日、世話をすれば、その台風の如き被害にお手上げになってしまうのだ
【 人 】 乗り換えた スマホデビューは 冷や水か (福岡市) 年寄の挑戦
- やっぱり流行に乗り遅れたくない。年寄と言われたくない。それで、スマホデビューを決断したのだったが…)
【 佳 作 】 ゴミ捨ては おれの番かと 妻に聞く (東京都) 恐妻家
- やりたくないのだが……
タイ焼きを お土産に帰宅 今日もまた (高知市) 帰宅拒否症候群
- スマホなんぞで差別されたくない
代議士の 言葉の軽さ 羽毛並み (東京都) 選挙民
- いいことは言うけれど
オレ弁当 妻レストラン 家の掟 (名古屋市)格差社会
- 格差はわが家から始まる
【応募要項】 来月のお題 「 扇 」あなたの俳句・川柳をお寄せ下さい。お題に添ったものでなくても結構です。自作未発表のものをはがき1枚に3句程度まで。住所・氏名(ペンネームの場合は本名も)・年齢・電話番号明記の上で、ご投句願います。投句は返却しません。二重投稿厳禁。天・地・人の句には薄謝ないし粗品を贈らせていただきます。締め切りは毎月末。 住所 〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3-7-16 報道ビル6F 「新政界往来」ひようたんなまず係まで。 |