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永田町ファイル

自民党・安倍晋三総裁の記者会見(11・16)

【安倍】本日、衆議院が解散されました。私たちは今日までのこの3年間、もう一度自由民主党を見つめ直し、そしてわが党の結党理念をもう一度見つめ直しながら、今日の日に備えて政策を鍛え上げてきました。私たちはこの戦いを日本を取り戻すための戦いと位置付けています。

 わが党はこの選挙戦において、私たちの理念に基づいた政策を堂々と訴えていきたいと思います。強い経済を取り戻していく。強い経済は、しっかりとした社会保障の基盤につながっていきます。強い経済は、活力のある地方につながっていきます。強い経済は、東北の復興の大きな力になるわけであります。私たちは、どうやって経済を強くしていくか、経済を成長させていくか、具体的に政策を示していきたいと思います。

 そして、外交を建て直していきます。民主党政権によって大きく傷つけられた日米同盟関係のこの信頼関係を、私たちはこのように回復していきますと訴えていきたいと思います。そして、そのことによって、私たちの美しい海を、領土を、そして国益を守っていくことを強く訴えていきたいと思います。

 また、教育です。教育再生に向けて、教育再生実行本部がすでに中間取りまとめを行っています。初等、中等、高等教育、そして家庭教育、社会教育、生涯教育、こうしたことについて我々は具体的に、すでに用意している法案も含め、国民の皆様に訴えていきたいと考えているところです。

 そして、安心できる社会を作っていくためにも、信頼できる社会保障制度を構築していくということを、この選挙を通じて訴えてまいります。

【記者】3年前、自民党政権が下野した時には、自民党の古い政治に対する閉塞感があり、日本を取り戻し、再生するという中で3年間努力されたと思うが、それは果たされてきたのか。

【安倍】古い自民党とは何かと言えば、それは派閥中心の政治、あるいは年功序列の人事、あるいは派閥が了解する人事であろうと思います。

 今回の総裁選挙において、最後の決勝に残ったのは石破幹事長と私です。両方とも、派閥単位、派閥出身者としてその出身派閥に全面的に応援された候補ではありませんでした。丸々大きな派閥が応援した候補でない二人が最後の戦いを行い、そしてその結果、今、派閥による人事は全く行われていません。その意味においても、すでに努力してきた成果が出ていると思います。

 政策面においても、経済政策において、かつての自民党の時代の経済政策と我々は大きく次元を変えた政策を行い、デフレ脱却に挑んでいこうと考えています。金融政策についても、グローバルな新しい金融に対応するために、日銀法の改正も視野に入れています。このようなことは、かつての自民党は一度も挑んだことがなかった。大胆な金融緩和を行っていくということです。

 そして、公共投資についても、マクロ経済的にそれが正しいと信じる中において、無駄使いは排しながら、地域の競争力を上げていく。無駄使いはしないという観点に絞っていく。また国民の命を守っていくという観点に絞っていく。子供たちの安全を守っていくという観点に絞っていくという意味においても、私はかつての自由民主党の公共投資の姿勢とは大きく変わっていくんだろうと思います。

 そして、集団的自衛権の行使という考え方についても解釈の変更、これは憲法ができて以来、なかなか挑むことができなかった。六年前、私はその作業を始めたわけでありますが、残念ながら完遂できませんでしたが、我々はこの選挙を通じて、そのことも堂々と訴えてまいりたい。

 これは古い自民党どころか、言わば戦後の体制そのものを打ち破る。そういう新しい自民党に変わったんだということを申し上げておきたいと思います。


【記者コラム】

地方を痛めた小泉政治反省を

 自民党の安倍晋三総裁は、念願の衆議院解散に追い込んだ当日( 16日)だけあって、記者会見では意気揚々と多弁に抱負などをアピールしていた。経済、外交、安全保障、教育などの政策方針に触れながら、安倍カラーを懸命に打ち出していた。

 ただ、記者側から問われた「古い自民党」について3年間でどう総括したかについては急所ハズレで、危うい自民党の一側面を露呈したと言える。

 安倍総裁は、今回の総裁選挙について「最後の決勝に残ったのは石破幹事長と私だ」としつつ、「両方とも、派閥単位、派閥出身者としてその出身派閥に全面的に応援された候補ではなかった」点を強調し、これが「古い自民党」政治ではないことを強調した。

 だが、焦点を当てるべき問題は、二人が決勝に残ったものの、その前段での第一回投票で全国の党員票が安倍87票、石破165票となぜダブルスコアの大差がついたのかという点である。

 決選では国会議員だけの投票だったため、108対89となり、2位だった安倍氏が逆転して勝利したが、これには派閥力学が働いたことは明瞭である。

 石破氏の持論は、「小泉政権の下、あの(郵政)総選挙で圧倒的に勝ったときから自民党の劣化は始まった」というもの。議席は大幅に増やしたが、地方では得票数、得票率はともにかなり落とした地域が多かったことを直視し、その分析と対応を怠ってきたのではないか。

 自民党はもともと地方の基盤が強かったのだが、石破氏は地方を何度も回って「悲哀」を聞き、小泉政治の荒っぽさを反省してきたのである。

 安倍総裁がその反省抜きで新たな政策を次々と訴えても、新しい自民党の未来は確固たるものにはなるまい。

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