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永田町ファイル

民主党・岡田克也副総理の記者会見 (11・20)

<世襲の是非>

【記者】参議院議員の羽田雄一郎さんの関係ですが、一時は衆議院長野3区からの出馬が取りざたされましたが、断念しました。地元後援会の中には、自力で参議院議員を3期やって大臣にもなったのだから、通常の世襲とは切り離してほしいという声が挙がっていました。この解釈について、副総理のお考えをお聞かせください。

【岡田】一般論として、なぜ世襲がだめかを申し上げます。

 これは私の記憶に間違いなければ、2003年、私が菅代表(当時)の下で幹事長(当時)をしているときに作ったルールだと思います。

 私がそのとき考えましたのは、やはり党として広く人材を求めていかないと、党の活力も出ない。かつての中選挙区であれば、無所属ででも出て、そして勝ち上がって、その後党所属になるということは、自民党などでよく行われていたことですが、小選挙区になると入り口が限られてしまうので、余計世襲というのは起こりやすい。そのことが党の将来にとって大きな問題を招きかねないと。

 自民党がまさしくそうであると。結局、若くして通って階段を上っていくと、どうしても世襲候補になってしまう。

 民主党はそういう党にはならないと、広く人材を求め、活力のある政党にしなければいけないという思いで党の役員会、常任幹事会でもご議論いただいて、党のルールとして決めたもので、そのことは2009年のマニフェストに明記を民主党岡田克也副総理記者会見11・20されております。

 あと、私は自民党に申し上げているのは、そうであるにもかかわらず世襲をやるというのは自民党が決めることですから、私は自由だと思っています。自民党の最も根源的な「病」を克服できないといいますか、気がついてないのは非常に残念に思いますが。

 ただ、私が申し上げているのは、2009年のマニフェストで、自民党も次の選挙からは世襲はやめるとはっきり明記されたので、なぜマニフェストで約束したことを反ほ故ごにするのか、これは政策とは違って、野党だからできないとか、ねじれだからできないということではなくて、自分で決めればできることですから、それをやっていないことについて、きちんと国民に説明する責任があると私は申し上げているわけです。

【記者】確かに、このたびの選挙で福田(康夫)さん、それから中川(秀直)さん、武部(勤)さんが御子息が出馬されるということが決まっておりまして、世襲議員ということになると思います。

【岡田】ほかにも何人もいますよ。それだけではない。

【記者】はい。それと、先ほど自民党総裁選で出られた方々が皆世襲だったというふうにおっしゃいましたが、民主党の中も、例えば田中真紀子氏、それから奥田建氏も世襲だったと記憶しています。

【岡田】言葉の定義をきちんと明確にした上で議論しないと混乱すると思います。

 先ほど私は自民党の総裁選挙で、全員世襲とは言っていないのですね。議事録を見ていただければ分かりますが、そこは注意深く、私は「全員世襲である」という表現は避けております。

 つまり、我々の定義で言うと、町村(信孝)さんは世襲とは言えない。それから、安倍さんも小選挙区になる前、(父親の)晋太郎さんは中選挙区で、晋三さんも最初に出たときは、まだ中選挙区だったのですかね。そういう意味では世襲かもしれません。が、いずれにしても、私の言う世襲というのは3親等以内の親族が同じ選挙区から続いて出ること。これは民主党の定義でもあるのですが、そういった候補を世襲候補と申し上げているわけです。


【記者コラム】

民主の「脱世襲」って違憲か

 岡田克也副総理(行政刷新担当大臣)が自民党との違いを鮮明にするために、民主党は「脱世襲」であることを強調する。羽田孜元首相の息子の羽田雄一郎参議院議員(国土交通相)が、父親の選挙区を地盤として衆院にくら替えしたい意向を示したが、同党はそれを許さず、出馬断念に追い込んだ。

 しかし、果たして世襲であること自体、問題だろうか。民主党の内規では「3親等以内の親族が同じ選挙区から続いて出ること」が世襲であるとして禁止になっている。これは岡田氏が幹事長時代に決めたもので、岡田氏らしい硬直的な発想から生まれたルールだと言える。

 これについて自民党の高村正彦副総裁は「お父さんが羽田孜だというだけで公認しないのは、まさに血による差別だ」とし、「国民のためになるかならないかを決めるのは国民自身である」と語ったが、その通りだ。自民党は衆院選に、福田元首相の長男、武部勤・元幹事長の長男、中川秀直・元官房長官の次男らを公認候補として擁立するなど世襲を事実上、容認している。

 日本国憲法は第14条で、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と記しているが、民主党による「血による差別」はこの憲法条項に違反するものではないか。

 民主党が候補者の発掘でもっと気を使うべきは、自己主張型の口達者なシロウトではなく、世襲であろうとなかろうと、教養、胆力、指導力のある良質な人材をいかに獲得するかである。〝赤い貴族〟の労働組合に頼りっきりの選挙戦術では、ますます国民の心から遠のくことに気づくべきだ。

★ ☆ ★

<数少ない首相の理解者の面目>

【記者】民主党は「決められない政治」という批判がかなり挙がってきたと思う。その要因は何だったのか。また、今後総選挙でもし民主党政権が続くことが決まった場合、それをどのような形で克服していこうとお考えか。

【岡田】幾つかの要因があったと思います。一つは民主党の中の問題、いろいろな議論がなされるのはいいのですが、最終的に長い厳しい議論を経て決まったことに、やはり従わないと。こういうことは政党として、組織としてあってはならないことだと思います。最終的には、これはトップが責任を持ってまとめていかなければならない。そのことには、基本的に従うという、そういう民主党にならなければならないと思います。

 もう一つは、やはり国会です。衆参ねじれということもあって、なかなか与党だけでは決められない構造があるということであります。これは最終的には憲法にまで遡る話にはなりますが、もう少し与党、衆参で意見が違ったときに、お互い知恵を出して合意形成する、そういう仕組みをしっかり作っていかなければならないというふうに思います。

 今回の特例公債法についての新しい法律を作ったということは、その一つの例でありますが、そういったことも含めて、よく与野党が話をして、政争ではなくて、国民のために政治をやるということでないと、次第に国民の皆さんの政治に対する関心の薄れ、不信感が募ると、こういうことだと思います。

【記者】「ねじれ」の関係なのですが、総選挙の結果がどのような形になっても、参議院での「院の構成」は基本的には変わらないので、今現状の民自公でいろいろな政策を進められてきたと思うのですが、この枠組みというのは一つ必要になるのかなと思うのですが、総選挙後、そういった連携についてどのように現段階でお考えでしょうか。

【岡田】総選挙の結果が分かりませんので、あまり具体的にコメントしないほうがいいというふうに思います。

 ただ、少なくとも社会保障・税一体改革については、3党でなし遂げたというその責任がありますから、どういう立場になったとしても、この点についてはしっかりと3党が協力して、もちろん他の党も協力していただければありがたいのですが、少なくとも3党は協力してなし遂げていく、その責任があるというふうに思っております。

 野田総理が谷垣総裁との間の「近いうちに」という、その約束をしっかりと果たしたということは、私はそういった3党でこれからも協議を進めていくということにとって、非常によかったというふうに思っています。

【記者】野田さんと安倍さんの党首討論で、岡田副総理は野田さんの言動を高く評価されている。いろいろな世論があると思うので、どういう意味があったのかというのをもう一度この場で、党首討論の評価を含めて、国民向けに解説していただけますか。

【岡田】こういうタイミングで解散をしたということは、これは約束を果たしたということだけではなくて、3党でやり遂げてきた社会保障・税一体改革、これを今後もいかなる立場になってもしっかりやり遂げるという、そういう野田さんの決意、これがあったということだと思います。

 併せて、タイミングとしてこれ以上遅くなると、予算編成というものが本格化する。そうすると、選挙の結果如何によっては二度手間になる、遅れる。そして、それが経済にもいい影響を及ぼさないと。そういう総合判断の中で、もうちょっと待てば有利になるのではないかとか、いろいろな議論はあったかもしれませんが、やはり国のこと、国民のことを第一義に考えて、野田総理はこのタイミングで決断されたというふうに思っています。

【記者】党首討論で、総理が16日に解散しますと言った、そのちょっと前に岡田副総理が何か総理に一声かけていましたけれども、あれは何とおっしゃったのですか。

【岡田】始まる直前のときには、総理が何かリップクリームを付け過ぎて、ちょっと口がねばねばするとか、唇が確かに映像を見ても、一生懸命それを取ろうとしているような、そういう場面が映っていたと思います。私はその唇で安倍さんを魅惑してくださいと、下手な冗談を言って、ちょっと総理の気分を和らげようとしたという、非常につまらない冗談でしたが。


【記者コラム】

解散決断を聞かされていた余裕

 岡田克也副総理は、野田佳彦首相の今回の電撃的解散発言で名をあげた。首相が11月14日の安倍晋三・自民党総裁との党首討論で、解散への決断を口にすることを事前に知らされていた、ごくわずかな人数の側近だったからだ。

 岡田氏は、もともと野田首相に近かったからではない。それだけ野田首相が信頼していたからである。昨秋の民主党代表選挙で野田氏に投票。そして大方の予想を裏切り、野田氏が代表に選ばれた。

 その選択眼を買って、野田首相は岡田氏を官房長官に当てようとしたが岡田氏は固辞。しかし、その後、首相の一貫した税と福祉の一体改革実現の姿勢に共鳴。消費税増税を支持し、副総理就任も受け入れた。

 そして党首討論の当日は、この記者会見で語っているように、首相に冗談を言って落ち着かせようとするほどの余裕を見せていたのだ。

 また、解散のタイミングの説明も結果論とはいえ理路整然としている。しかし、政界は岡田氏が述べるように、政党トップの意向に所属議員が全員従うような行動をそう期待することはできない。いわんや自民党からの政権奪還を目標とし、聞こえの良い政権公約ばかり並べた民主党が、いずれガタガタになるのは予想できたことだ。

 岡田氏は、選挙後のことは具体的にコメントしない方がよい、とするが、三党合意を土台に、それを重視して大きな役割を果たした岡田氏の出番が、また訪れる可能性はある。

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